上記のような気分の周期性がなく、他の精神的変化や身体症状も目立たない場合は、本人が感じている「ままならなさ」について、今おかれている環境、対人関係における葛藤状況、自己評価の低さ・アイデンティティの不確実さといった性格傾向の観点から吟味する必要が出てきます。長く続く落ち込みやイライラと明らかに結びつく問題を見出すことが出来れば、対処法を検討します。ただ、「何かがままならない」の「何か」がそのときの対人関係や外部の事態に関係する場合は把握しやすいのですが、「何か」が自身の中にある場合、例えば自分の理想と現実がうまく折り合わないといったことから、イライラが生じている場合は、すぐに気づくことができないこともあります。認知行動療法などの薬物療法以外のアプローチを積極的に検討し、気分の変動を生じやすい自身の思考の偏りを検討して修正する、リラクゼーション法を取り入れていくといった工夫をしていきます。. 一般的に様々な症状のチェックのためのアンケート評価、そして採血検査による男性ホルモン(総・遊離テストステロン)の値を測定します。これらを総合的に評価して診断をつけますが、男性更年期は定性的な診断基準がありませんので、男性ホルモン(テストステロン)値が低いからといってそれだけで男性更年期と診断できるわけではありません。テストステロン値と症状の重症度が相関しないことから、実際は以前の状態からどの程度減少したかが診断の参考となると考えられます。はっきりしない場合には、診断的治療として薬剤投与を開始し、その反応を見るという場合もあります。. 従ってホルモン補充療法をするとグラフのように心筋梗塞になる危険率は3分の1に抑えられます。また心筋梗塞だけではなく、動脈硬化に基づく物忘れ、記憶力の減退、ぼけなどの脳症状も予防できます。.
忘れていることに対して自覚があれば問題ありません。. 突然、記憶力が低下してしまった場合 医療処置をした後に記憶力が低下してしまう場合があります。「よく私が耳にするのは、『父は前立腺の手術を受けるまでは問題ありませんでした』というケースです」とピーターセン博士。すべてがうまくいき、病気や術後の処置から完全に回復して、数カ月経ってから、家族は記憶がおかしいことに気づきます。「私にとっても注目すべき事例です。人間のシステムはストレスを感じると、秘かに進行していた何かの症状が表に出てしまうのかもしれません」. 更年期障害 物忘れ 対策. またもの忘れの主な内容として、下記の内容があがっています。. 更年期障害は、女性ホルモンの分泌が急激に低下することで強い心身の症状が現れる、女性特有の疾患です。そして、日常生活におけるストレスや疲れ、睡眠不足なども症状の悪化の要因とされています。更年期障害はそれ自体が直接命に関わらない病気であっても、その症状には精神的に参ってしまう症状や身体的な苦痛症状によって、日常生活を送るのに支障をきたすことがあります。.
病院によっては物忘れ外来など、物忘れ専門の先生がいる病院もあります。. 物忘れの症状は認知症の初期症状と似た症状です。. 例えば頭痛が気になるとき、特に急激な頭痛の場合はくも膜下出血など命に関わる病気の可能性もあるため、まず神経内科や脳外科で診てもらい、腫瘍や頭痛の原因となる病気が見つからなかったら、更年期障害の頭痛という診断になります。また、ドライアイや肌の乾燥といった皮膚・分泌系の疾患や下痢や便秘など消化器系の疾患、関節の痛み、物忘れや睡眠時無呼吸症候群なども、まずは専門の医療機関に診てもらってから婦人科を受診すれば、病気の見落としはかなり防げると思います。何科を受診すればいいか迷うときは、全身を多角的、かつ総合的に診るとのできる内科で診てもらうと安心でしょう。. 物忘れがひどくなったからと言ってあまり気にせず、気を楽に生活することが大切といえます。. Translation by Takenori Noguchi From Prevention. そのため、覚えておきたい情報は、自分の感想や感情を表現すると記憶に残りやすくなります。. 更年期障害 物忘れがひどい. ただの物忘れと放置しがちですが、病状の悪化に繋がりかねません。. 「気分が沈む・イライラ」チェックポイント|.
どちらにしても、当事者である更年期世代にはツライことには変わりありません。. 物忘れの症状が見られるのは、老化による物忘れだけではありません。. もの忘れが増えると"ひょっとしたら認知症!? 女性ホルモン欠乏状態になるとほてり、冷え、のぼせ、発汗異常、動悸、不眠、頭痛、肩こりなどの自律神経失調症状が現れます。程度は個人差があり、1日に何回も訴える人からほとんど症状を訴えない方もおられます。. 薬物療法では体全体の調子を整えるための薬が用いられ、特定の症状が強く出ているときはそれを改善するための薬も併用されます。.
うつ状態は心理テストや問診で診断が可能です。更年期障害、栄養障害、甲状腺機能低下症は血液検査で簡単に診断できます。認知症も問診や認知機能検査で診断が可能です。いずれにせよ、記憶障害の原因を明らかにするための検査を早期に受けることをお勧めします。その結果にしたがって治療を開始することで早期の症状改善につながります。. 脳腫瘍とは、頭蓋内に腫瘍が見られ、腫瘍の位置によって手足のしびれや失語など、様々な症状が見られるようになります。. 脳疾患は脳の働きに障害が起こる病気です。. 「気分が沈む」、「イライラ」のいずれか、あるいは両方の気分が長く続いて生活の妨げになるレベルであれば、①気分の落ち込みやイライラの出現には周期性があるか、②物忘れ、注意集中の低下など、他の精神的な変化はないか、③今まで見られなかった身体の症状はないか、これら3つの観点から確認してみることをお勧めします(表1)。ただし、いずれの場合でも、寝つきが悪い、夜中度々起きる、朝早く起きてしまいその後眠れない、といった不眠症状や、食欲不振などが強く体重減少が進行している場合、自分を責める思考が高じて自殺などの考えが度々浮かぶというような場合は、専門機関への早目の受診を検討します。. また、心身症の症状が強い場合は、更年期障害の症状に対する治療を続けながら、当院で心身症に対する治療を行うことをおすすめします。更年期障害と心身症どちらの症状も改善することが期待できます。諦めずに治療を継続していきましょう。. 最終月経から1年間月経がないことをもって閉経と診断します。. 更年期障害 物忘れ 治療. 血圧や血糖値、コレステロール値が高い状態だと、脳血管の詰まりがくり返される可能性があります。これらの値に異常がある場合は、正常値に近づけるように生活習慣を見直し、治療しましょう。. 女性の旦那さんいわく『妻はすっかり元気になり、 10歳ほど若返りした 』と感動を隠せずウキウキと妻の回復ぶりと 美しくなった妻 のことを語ってくれました。診察では明らかに お肌がぷるぷると弾力と艶が出る ようになり、 シワもほとんど分からなくなりました 。. 認知症疾患医療センターなど、認知症を専門的に診ている病院で診断してもらう. 更年期障害は一種のストレス性疾患とも考えられており、さまざまな要因が重なって発現します。更年期の女性は、生理的な現象としてエストロゲンが低下するため、何らかの症状が出ています。この症状が日常生活に支障を来すほど、強くなるのは次のような要因が考えられます。.
睡眠時間が不足していると、記憶が定着せず、集中量も低下してしまうため、良いパフォーマンスを発揮することができません。. 老化による物忘れは脳の機能が衰えることで見られます。. みんなが不思議に思いながらも、よくよく考えたら、とある出来事以来、彼女は少しずつ様子が違ってきていたのです。. 更年期障害は経験した人しかわからない大変苦痛な症状です。人によって症状の度合いは様々です。. 生活習慣を整えても更年期の症状が気になるときは、病院で検査を受けることをおすすめします。. 頭痛、ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ、発汗)、動悸、手指のしびれや痛み、腰痛や関節痛、肩こり、むくみ、めまい、吐き気、便秘や下痢、乾燥肌、頻尿、膀胱炎など. 実は女性ホルモン(エストロゲン)と認知機能には深い関係があることがわかっているという。東京医科歯科大学大学院の寺内公一教授は「女性ホルモンが大きくゆらぐ更年期にはさまざまな不調が起きるが、もの忘れもそのひとつ。更年期外来を受診した345人に調査したところ、週に1回以上もの忘れを自覚すると答えた人は7割にのぼった」と語る。. 更年期障害のつらい症状の原因はさまざま まずは内科で診断を｜. 高齢者が発症するものと思われていますが、30代~50代のような若い人でも発症することがあります。. 特に、ノンレム睡眠(深い睡眠)の間は、脳の老廃物の排泄プロセスが進むと言われています。. 乳がんまたは乳がん既往・子宮体癌・血栓塞栓症・心不全・腎不全・肝機能障害・ポルフィリン血症の方は治療が受けられません。. 脳への刺激をするために、スマホでできる脳トレのアプリを使用するのも良いでしょう。.
「近所に住んでいる人の名前を忘れてしまった」. 1) 初診の場合 初診料、ホルモン検査料、プラセンタ注射で約3, 000円かかります。. 【薬剤師の体験談】記憶力の低下に悩まされる、すべてにおいて完璧な女性の話. 更年期にできるもの忘れ対策のひとつに、寺内教授はホルモン補充療法を挙げる。「もの忘れに加えて、更年期のさまざまな症状がきつい場合には、ホルモン補充療法も選択肢。ホルモン値が安定するので不安感やもの忘れなどの症状が軽くなるかもしれない。女性のこの時期は家族や仕事のストレスが重なっていることが多い。自分を追い込まないことも大切」と話す。もの忘れする自分を責めるばかりでなく、たまには自分を甘やかすことも必要かもしれない。. 女性ホルモンがなくなると膣壁の潤いはなくなり、病的な菌が生えやすくなり老人性膣炎を起こし、不正出血やおりものも増え臭いも気になるようになります。膣壁の乾燥により性交痛を訴える方もいらっしゃいます。また膀胱粘膜も萎縮し膀胱炎にもなりやすくなり、尿道括約筋の力も弱くなり、尿失禁もおこしやすくなります。. 3 問診、および心理テストで中等度以上の神経症・うつ病・ヒステリーなどの精神神経的疾患の可能性がある場合。. 今春、新規事業開発部に異動になり、ほぼ毎日、在宅ワークで業務をこなしていました。.
更年期障害には、どんなものがあるのですか。. 基本的には問診を行い、他の婦人科疾患がないかを確認するために内診や子宮がん検診、超音波検査を行います。また、採血による女性ホルモン値の測定や、更年期以降に気を付けなくてはならない骨粗鬆症や高脂血症などについての検査をすることもあります。. 引き起こされた「うつ病」の可能性もあります。. エストロゲンの分泌を調整するのは、脳にある下垂体という場所です。45歳を過ぎた頃から、脳がエストロゲンの分泌をいくら命令しても、分泌されにくい状況が続き、脳が混乱してしまいます。そして、脳が調整する他の自律神経系にも影響を与えて、さまざまな更年期症状を引き起こすことになります。. 60代以上の方がなる「老年期障害」とは. また、更年期の諸症状で心身にストレスがかかり、さらに記憶力が低下してしまうことも考えられます。自律神経の乱れによる不眠も、脳がエラーを起こす原因の1つです。.
そこで、自身もこの問題で悩んだ(現在も進行中)更年期コンビ、オトナサローネ編集長・井一美穂と、美容ライターの藤井優美が、読者からのアンケートとともに、更年期世代の物忘れ・能力低下について語り尽くします。. イライラしたり、強い不安症状がでたりします。. その他にエストロゲンという卵巣ホルモン(女性ホルモン)は月経周期に対する作用、骨に対する作用、脂質代謝・血圧調整・糖代謝に対する作用、膣・膀胱・尿道に対する作用、皮膚に対する作用、脳血流量や記憶・認知能力に対する作用があるために、エストロゲンが低下することにより、様々な症状が現れやすくなります。. 「うつ症状を有する44~55歳の閉経期女性にホルモン補充療法を行ったところ、80%の人で症状が改善。一方、50~90歳の、閉経後の女性にホルモン補充療法を行っても症状は改善されなかったというデータがある。もの忘れはうつ症状に伴って起きやすい。もしホルモン補充療法を希望する場合は、閉経前後のホルモンが大きくゆらいでいる時期に婦人科医に相談してほしい」(寺内教授)。. また、その情報について他者とのコミュニケーションを取ると、より強固に記憶に定着しやすくなります。. 骨粗鬆症も更年期で注意が必要な病気です。骨が弱くなり大腿骨頸部骨折をおこすと車椅子の生活になったり、寝たきりの状態になります。グラフは年齢別にみた骨粗鬆症の発生頻度を、男女別にみたものです。. 例えば、読書感想などは、ただ内容を理解するだけなく、自分の感想も一緒に添えて記録するのがおすすめです。.
脳の神経細胞の破壊により、 記憶障害・見当識障害・判断能力の低下 が見られるようになります。. エストリールという作用の弱い女性ホルモンを服用します。. 大豆一筋、イソフラボン研究のパイオニア。. 「婦人科が苦手」「内診台に乗りたくない」など、婦人科へ行くことに抵抗がある人も多いのではないでしょうか。更年期の検査や診察方法をチェックし、あらかじめ心の準備をしておきましょう。. ②物忘れや集中力低下など精神的な変化はないか||気分障害の重症化. また早い段階であれば、認知症を予防することもできます。. 幅広い不調に対して効果が得られるので、更年期症状に対しその人の体質や症状を考慮して合った薬を使用します。.